就職や転職を考える際、人気の職種である「人事」と「経理」はよく比較される対象である。どちらも企業の中核を支えるバックオフィス業務であり、専門性や安定性がある反面、職種の性質や求められるスキルには大きな違いがある。そのため、どちらを選ぶべきか迷うのは自然なことだ。
人事は主に「人」に関わる業務、経理は「お金・数字」に関わる業務とよく表現されるが、それだけで判断するのは不十分である。仕事内容の理解や、向いている人の特性、自分の将来像と照らし合わせて選ぶことが大切である。
この記事では、人事と経理、それぞれに向いている人の特徴や業務内容を整理し、自分に合った職種を選ぶための判断ポイントを紹介する。ミスマッチを防ぎ、長期的に満足できるキャリア選択の参考としてほしい。
人事職に向いている人の特徴と主な業務内容
人事の仕事は、「人材を活かす」ことを中心に据えた業務である。新卒・中途の採用活動から、入社後の教育・研修、評価制度の運用、労務管理、さらにはメンタルケアやキャリア支援まで、多岐にわたる業務を担う。
主な業務内容の一例:
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採用活動(募集要項作成、面接対応など)
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社員教育・研修の企画運営
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人事評価制度の設計と運用
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就業規則・福利厚生の整備
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労働法令対応や社会保険手続き
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社員相談・人間関係の調整
このように、人事は「人」を対象とした業務が中心となるため、コミュニケーション力、共感力、調整力が重要な資質となる。また、企業理念や制度を社員に浸透させ、モチベーションを引き出す力も求められる。
人事に向いている人の特徴:
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人と接することが苦にならない
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相手の立場に立って物事を考えられる
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説明や交渉などの対話に自信がある
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チームでの仕事が好き
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感情のコントロールができる
一方で、感情労働の側面もあるため、時に社員の悩みに向き合う精神的な強さも必要である。人を支えることにやりがいを感じるタイプの人にとっては、大きな達成感を得られる職種である。
経理職に向いている人の特徴と主な業務内容
経理の仕事は、企業のお金の流れを正確に管理・記録し、経営判断に必要な情報を提供する役割を担っている。日常の会計処理から月次・年次決算、税務申告、資金繰りの管理など、その業務は緻密さと専門知識が要求される。
主な業務内容の一例:
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仕訳入力・伝票処理
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売上・支出の管理
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月次・年次決算の作成
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税務対応(消費税、法人税など)
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原価計算・資金繰り
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経営資料の作成
数字を扱う業務が多く、正確性、慎重さ、論理的思考力が求められる。間違いが許されない業務が多いため、集中力を維持しながら着実に作業を進める力が重要となる。
経理に向いている人の特徴:
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数字やデータを扱うことが好き
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細かい作業を丁寧にこなせる
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一人でコツコツと仕事に取り組める
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ルールや制度に対して理解力がある
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ミスを防ぐための確認作業を厭わない
また、経理は資格取得との相性も良く、簿記や税務、会計関連の知識を深めることで、キャリアアップや専門職としての独立も目指しやすい。専門性を磨いて長く安定して働きたいと考える人には適している職種である。
自分に合った職種を選ぶための判断ポイント
人事と経理、どちらにも異なる魅力と特性がある。選択に迷ったときは、以下の観点から自分に合った方を見極めるのが有効である。
1. 性格や得意なこと
自分の性格や得意な作業から考えるのが第一歩となる。たとえば、「人と関わることが得意」「感情を読み取るのが得意」であれば人事向き、「黙々と集中するのが好き」「数字に強い」のであれば経理が向いている可能性が高い。
2. 将来のキャリアパス
人事は将来的に人事企画や人材開発、経営層との連携を強める役割へ進むことができる。経理は、税理士や会計士、CFOといった高度な専門職を目指すことができる。自分のキャリアの方向性に合うかどうかを考えるのも判断材料となる。
3. 資格取得の意欲
経理職は、日商簿記をはじめとした会計系の資格が評価されやすい。反対に、人事職は必須資格がないものの、キャリアコンサルタントや社会保険労務士などの知識があると役立つ。資格の有無や勉強への抵抗感も選択の指標となる。
4. 未経験からのチャレンジ
どちらの職種も未経験からのスタートは可能だが、企業によって求められるスキルや経験値は異なる。たとえば、経理職はExcelや簿記の知識が求められやすく、人事職はコミュニケーション力や業界理解が重視される傾向がある。入社後の成長支援制度の有無なども確認しておきたい。
まとめ
人事と経理はどちらも企業にとって欠かせない存在であり、それぞれに魅力と難しさがある。重要なのは、どちらが「楽そう」かではなく、自分の特性や働き方、将来目指したい姿に合っているかという視点で選ぶことである。
人と関わりながら組織の成長に貢献したい人には人事、数字に強く、安定した業務で専門性を高めたい人には経理が向いている。どちらを選ぶにしても、自分の特性や価値観を理解し、それに合ったキャリアを選択することが、納得感のある働き方につながる。
最後に付け加えると、どちらの職種も経験を重ねることで専門性が磨かれ、社内外から信頼される存在となる。迷ったときは「自分が何を重視したいのか」「どんな働き方に満足できるのか」を見つめ直し、自分にとって最適な選択を目指してほしい。
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