一般に「人事部の仕事は楽そうだ」というイメージを持たれることがあります。なぜそのように言われるのでしょうか?理由の一つは、人事の業務は突発的な対応が少なく計画的であることです。他の部署のように顧客対応などで急なトラブルに追われるケースが比較的少なく、予期しない残業や心理的負担が少ないと見られがちです
。このように、周囲から見ると人事担当者は日々数字に追い立てられている印象が薄く、「楽そうだ」と言われる要因になっています。
しかし、これらはあくまで外側から見た表面的な理由に過ぎません。本当に人事の仕事は楽なのでしょうか?以下では、人事職のリアルな業務内容や大変な点、そして人事ならではのやりがいについて詳しく解説します。求職者や転職希望者の方が人事という職種への理解を深められるよう、具体例を交えて考えてみましょう。
実際の人事業務の内容と大変な点
人事の仕事は社内の人材に関するあらゆる業務を担います。採用計画の立案、求人・面接対応、内定者フォローから、入社後の研修、配置、評価制度の運用、給与計算・社会保険手続きなどの労務管理、社員からの相談対応、時には福利厚生の企画や労働法対応まで、その守備範囲は多岐にわたります。こうした幅広い業務ゆえに、決して「楽な仕事」とは言えない現実があります。主な大変なポイントは次のとおりです。
-
業務量が多くミスが許されない:人事は会社全社員分のデータを扱うため作業量が膨大です。例えば給与計算では一円のミスも許されず、年数回のボーナス計算や年末調整など繁忙期は深夜まで及ぶこともあります
。採用業務でも大量の応募者対応や面接日程調整が発生し、常に綿密なスケジュール管理が求められます。
-
社員の問題対応・苦情処理:人事部には社内のあらゆる苦情や相談が日々持ち込まれます。セクハラ・パワハラといった深刻なトラブル、メンタルヘルスの悩み、人事評価への不満など内容は多岐にわたり、その多くは重いテーマで機密性も高いものです
。こうした問題に対処する人事担当者は、他言できないストレスを抱えることも少なくありません。
-
非情な決断の最前線:人事は会社の方針に基づき、人員整理や配置転換の実務も担います。リストラ(解雇)候補の選定や本人への通告は人事にとって最も辛い業務の一つです
。社員の人生に大きく関わるため心的負担が大きく、恨まれる役回りになることも避けられません。
-
成果が見えにくい長期戦:人事の施策はすぐに結果が出るとは限りません。優秀な人材を採用しても実際に戦力となるまで時間がかかり、研修制度を導入しても定着や効果測定には月日を要します。短期で成果を実感しづらく、達成感を得にくいため、自分の仕事が会社に貢献できているか日常では見えにくい面があります
。そのため人事担当者自身がキャリアに不安を抱いてしまうケースもあるのです。
以上のように、人事の仕事は「楽」どころか専門知識と気配り、精神力を要する縁の下の力持ち的な重責と言えます。現場の人事経験者からも「いくつもの会社で人事を経験したが、楽な人事部などなかった」との声が聞かれるほどです
の回答者の実体験)。では、そのように大変な人事の仕事にもかかわらず、なぜ人事職に就く人がいるのでしょうか。次に、人事ならではのやりがいや魅力に目を向けてみましょう。
人事だからこそ味わえるやりがいと魅力
人事には他の職種では得がたい固有のやりがいが存在します。苦労が多いからこそ、その分だけ達成したときの充実感や人事冥利に尽きる瞬間があるのです。代表的なポイントを見てみましょう。
-
企業の成長に直接貢献できる:人事は「ヒト」という経営資源を通じて会社の成長を支える重要な役割です。必要な人材を採用し、社員が働きやすい制度や環境を整えることで組織全体の生産性向上に寄与します
。自分が企画導入した人事制度で社員の定着率が上がったり業績が向上した時には、会社の発展に貢献できた手応えを強く感じられるでしょう。
-
社員の成長を支え喜びを分かち合える:採用した新人が数年後に大きな成果を上げたり、研修で育てた社員が社内で活躍したりする姿を見届けられるのは人事冥利に尽きます
。入社時から長期にわたり人材の成長を見守り支援できるのは人事ならではです。他者の成長を自分の喜びと感じられる人にとって、人事の仕事は大きなやりがいをもたらしてくれるでしょう
。
-
多様な人と関わり自身も成長できる:人事は社内外の様々な立場の人と接する仕事です。新卒学生からベテラン経営層まで幅広い人々とコミュニケーションを取る中で視野が広がり、自分の人を見る目も養われます
。人事で培った対人調整力や問題解決力は自分自身の成長にもつながり、将来のキャリアにおいて貴重な財産となります。
このように、人事には**「人」に関わる仕事だからこそ味わえる醍醐味**があります。実際に「見込んだ人材が活躍してくれたとき」「適材適所の配置がうまくハマったとき」「自分の面接対応が決め手で入社を決めてもらえたとき」などに大きなやりがいを感じると語る人事担当者も多く、地道ながらもやった分だけ組織や人の成長に返ってくる点が魅力と言えるでしょう。
楽しさを感じられる人事の働き方とは?
では、実際に人事として働く上でどうすれば仕事の楽しさや充実感を感じられるかを考えてみます。ポイントは「人事の本質」を理解し、主体的・前向きに業務に取り組むことです。
-
「人の成長=自分の喜び」というマインドを持つ:人事の仕事は裏方に見えて、常に人の人生や成長に寄与しています。社員や求職者の成長を自分のことのように喜べる人は、人事のやりがいを強く感じられるでしょう
。自分がサポートした社員が成長した時には、自分のこと以上に嬉しいという価値観を持てると、日々の業務に自然と張り合いが生まれます。
-
課題を改善し組織改革につなげる:人事には社員から様々な声が集まりますが、それをただの苦情対応で終わらせず「会社を良くするヒント」と捉えることが大切です。例えば寄せられる不満を分析して制度改定や研修企画に活かすことで、職場環境の改革の推進役になれます
。問題点を見過ごさず前向きに改善策を提案・実行していけば、人事自身も仕事の意義や楽しさを感じられるでしょう。
-
業務効率化で雑務の負担を減らす:人事はどうしても事務的な作業が多くなりがちですが、近年はITツールやアウトソーシングでその負荷を減らすことが可能です。例えば勤怠管理や書類提出のリマインドを自動化したり、ルーチン業務の一部を外部委託したりすれば、人事担当者の残業やストレスは大幅に軽減します
。空いた時間と心の余裕を戦略立案や社員との対話に充てることで、より創造的で「人」の部分に集中した働き方が実現でき、仕事自体も楽しく感じられるはずです。
以上のように、人事の仕事を楽しむためには**「人と組織の成長にコミットする姿勢」と「効率よく働く工夫」**が鍵となります。ただ与えられた作業をこなすだけではなく、自ら主体的に人事施策を工夫したり、社員との信頼関係構築に力を入れたりすることで、やりがいや面白さが実感できるでしょう。人事は会社と社員をつなぐ架け橋です。その立場を積極的に活かして組織にポジティブな変化を起こせば、自ずと仕事の充実感も高まっていきます。
人事の仕事の本質を知れば見え方が変わる
人事の仕事は一見「楽」そうに映るかもしれませんが、その実態は会社を陰で支える縁の下の力持ちであり、責任も重く決して単純ではありません。とはいえ、数字に追われないぶん自分のペースで計画を立てやすいメリットや、多くの人と関わり組織づくりに貢献できる醍醐味があることも事実です。人事職の本質は、人を通じて組織をより良くすることにあります。この本質を理解すれば、「楽そう」に見えていた人事の景色は一変するでしょう。
実際に人事の仕事に飛び込んでみると、決して楽なことばかりではないものの、社員や会社の成長に寄与できる喜びや、自身も経営視点・対人スキルを磨ける魅力に気付くはずです。人事は簡単ではありませんが、企業のため・社員のために尽力するその働きは必ずや社会への貢献にもつながっています
人事という仕事の裏側にあるやりがいや意義を知ることで、きっと皆さんのキャリア観も前向きに広がっていくことでしょう。人事職への理解を深め、ご自身にとって本当にやりがいを感じられる道かどうか、ぜひ判断する一助になれば幸いです。
コメント